2021年3月14日(日)から18日(木)までの5日間、徳島大学TRPと高知工科大学RaSKの2団体で加太共同実験を行いました。前回と同様、実験2週間前からの毎朝の検温や、マスク着用を徹底するなど、感染症対策を十分に行ったうえでの実施となりました。

    今回の実験では、TRPはハイブリッドロケットを3機、RaSKはハイブリッドロケットを2機打ち上げました🚀

    3月14日(日)

    実験初日は主に準備を行いました。机や椅子、テントなどを借用して本部を設営し、打ち上げ用のランチャーも組み上げました。

    3月15日(月)

    2日目からはハイブリッドロケットの打ち上げを行いました!

    1機体目はRaSKの「GS-7」です。

    この機体は前回実験のとき、GSEのトラブルによって打ち上げることが出来なかったため、今回はGSE運用時の確認事項や点火装置設備の改良を行い、打ち上げに挑みました。

    機体本体の情報としては、計測機器基盤を開発・評価ボードを使用せずに設計したことで電装部のサイズダウンに成功したことが特長で、無線通信(ダウンリンク)によって落下地点の座標を予測するということにも挑戦しています。

    無事打ち上げに成功!

    パラシュート開放にも成功しました!

    ノーズは外れてしまいましたが、他に大きな損傷はなく無事に飛翔データを取得することが出来ました!

    2機体目はTRPの「Eddy号」です。

    昨年度の3月に伊豆大島共同実験で打ち上げを予定していましたが実験が中止となり、さらに今年度11月の加太共同実験にも大学の意向で参加することが出来なかったため、今回1年の時を経て、満を持しての打ち上げとなりました。

    この機体には団体初のソレノイド磁石を用いた開放機構が搭載されており、2つの鉄芯の動作によってパラシュートが放出される仕組みとなっています。また、ノーズの下部に小型カメラを搭載し、飛翔中の動画撮影にも挑戦しています。

    無事打ち上げに成功!

    しかし、ソレノイド開放機構は正常に作動せず、弾道落下となってしまいました…

    動作不良の原因としては重力と逆方向に鉄芯を引き込む力が磁石に不足していたためであるとTRPは考察しています。弾道落下となったことで電装部やカメラは故障してしまい、ほとんどデータを取得することが出来ませんでした。翌日以降に打ち上げを控える2機のハイブリッドロケットでの挽回を目指します!

    3月16日(火)

    3日目も各団体のハイブリッドロケットの打ち上げです!

    3機体目はRaSKの「GS-9」です。

    開放指令プログラムの工夫やサーボモータとワイヤを効率的に使用した開放機構によってより確実なパラシュート開放を目指しています。

    無事打ち上げに成功!

    パラシュート開放にも成功しました!

    機体に大きな損傷はなく、完全回収となりました。

    4機体目はTRPの「Aries」です。

    TRPが新体制となって新たに始めた星座シリーズの第1弾で牡羊座(Aries)をモチーフにしたデザインが施されています。

    この機体の開放機構には電磁石が使われており、開放のタイミングで電流がストップして磁石が外れ、扉が開く仕組みになっています。また上部には小さな開放扉があり、二段階開放に向けた電装部の開扉テストも兼ねています。

    しかし、この日の打ち上げはエンジン内部のトラブルにより中止となり、翌日に延期されました…

    3月17日(水)

    Ariesは無事打ち上げに成功!

    遅めのタイミングではありましたがパラシュートが開放され、減速落下に成功しました!

    開放のタイミングが遅くなったのは試験用の小扉が打ち上げ時の振動による誤作動で開いてしまい、それによる空気抵抗の増加で高度が低くなったためであると考えられます。

    ボディ下部とフィンが少し破損しましたが、無事回収することが出来ました。

    そして本実験の最後を飾る5機体目はTRPの「Taurus」です。

    星座シリーズの第2弾で、牡牛座(Taurus)をモチーフにしたデザインが施されています。

    この機体は団体初となる、パラシュートを2つ搭載した二段階開放のシステムが採用されており、最初に副傘としての小さなパラシュートが放出した後に主傘としての大きなパラシュートを放出することで落下分散を小さくするという狙いがあります。

    また、Eddy号と同様、ノーズ下部に小型カメラが搭載されており飛翔時の動画データ取得を目指します。

    無事打ち上げに成功!

    主傘、副傘ともに開放に成功しました!

    こちらもボディ下部とフィンが少し破損しましたが、無事回収することが出来ました。Eddy号で取得できなかった動画データも取得することができ、大きな成果となりました。

    これにて今回打上予定であった全てのハイブリッドロケットの打ち上げが完了し、実験終了となりました!

    3月18日(木)

    最終日は片付け・撤収作業を行いました。

    今回の実験で計5機ものロケットを打ち上げることができ、各団体は多くの学びを得ることが出来ました。

    ご協力いただいた加太地域の皆様、安全管理責任者を務めてくださった和歌山大学・秋山先生、千葉工業大学・前田先生、誠にありがとうございました!